フリーランスとして独立しようと思っているが、何を準備したら良いのだろう?今のうちにしておくべきことは何かな?
そんな疑問・不安を持っているデザイナーのために、デザイナーが独立してフリーランス・個人事業主になる際に必要な準備について、筆者の経験をもとに書いています。
デザイナーのキャリアアップには、転職の他に、独立してフリーランスとして働くという選択肢もあります。
企業や組織に属さず、デザイナーとして様々な仕事を個人として請け負う個人事業主になるという選択です。
企業に属していると仕事の実績は企業のものになる場合が多いですが、個人でした仕事は個人の実績になります。
独立してフリーランスとして働くことは、デザイナーとして名前を売りたい場合は最適な選択肢となるでしょう。
もちろん、数人のデザイナーを雇用して、個人デザイン事務所の代表になり、受ける仕事を増やすことも可能です。
なお、具体的に独立して成功するステップについては、フリーランスデザイナーの独立・起業方法マニュアル〜個人で集客して稼げるデザイナーになる方法・10ステップ〜に書いているので、参考にしてください。
フリーランスデザイナーの独立・起業方法マニュアル〜個人で集客して稼げるデザイナーになる方法・10ステップ〜
それでは。独立・フリーランスになるために必要な準備について詳しくみていきましょう。
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デザイナーが独立・フリーランスになるための準備
いざ独立することを決めると、できるだけ早く軌道に乗せるために、やることがたくさんあります。
できれば、現在の職場を退職する前に、できるだけ多くの準備を並行して行い、準備が整った状態でスタートを切ることをおすすめします。
独立の理由を考え・納得する
まずは独立する理由をしっかりと考えておきましょう。
独立して食べていくことは、とても楽しいですが、とても大変です。
自分が動いていない時は収入が発生しないのです。その他、社会保険や健康保険なども会社員の方が優遇されています。
このことをしっかり理解した上で、次のようなことについて考えて納得しておく必要があります。
- どうして独立したいのか(ポジティブな理由?ネガティブな理由?)
- 独立しないとできないことは何か(会社員のままではできないことなのか?)
- 目標は何か?(独立して、どんな結果が出れば成功なのか)
上記のようなことを考え、それでも、どうしても独立したいのか、自分にとって最適な選択肢なのかどうかを判断するようにしましょう。
デザイナーが独立してフリーランスになるメリットとデメリットとは?|事前に理解して対策をしておこうの記事も参考にして、独立のメリット・デメリットについて理解しておきましょう。
デザイナーが独立してフリーランスになるメリットとデメリットとは?|事前に理解して対策をしておこう
そしてもし納得して決めたのなら、やりがいのある働き方であることは間違いありません。楽しく準備を進めていきましょう。
ポイントは独立する明確な理由を考えることです。
自分の専門分野を明確にする
独立してフリーランスとして働くにあたり、必ずやっておくべきことは「自分の専門分野を明確にすること」です。
世の中には多くのデザイン会社・デザイン事務所が存在しています。その中で自分を選んでもらうためには、「何でもかんでもやります!」ではなく、「この分野ならこの人にお願いしよう」と思ってもらえることです。
例えばある美容院のオーナーが、集客用のチラシを制作してくれる業者を探していたとします。次の2つの業者があった場合、どちらに頼みたいと思うでしょうか。
- どんなものでも相談できるデザイン事務所
- 美容室の集客ツールに特化したデザイン事務所
お客様の目的が明確な場合、「美容室の集客ツールに特化したデザイン事務所」の方に頼んでみようと思うはずです。どうせ頼むのなら専門家に頼んだ方が良いと感じるからです。
専門分野は、美容院・居酒屋など、お客様の属する業界で絞っても良いですし、名刺やチラシなどデザインする媒体で絞っても良いです。自分の強みと専門性を考え、打ち出すことがポイントです。
具体的な方法は、独立したフリーランスデザイナーが集客する戦略。選択と集中でオンリーワンの専門家を目指そう。の記事も参考にしてください。
独立したフリーランスデザイナーが集客する戦略。選択と集中でオンリーワンの専門家を目指そう。
屋号を決める
独立開業するにあたり屋号を決めておくと、事業がやりやすくなります。
個人名だけでの活動も可能ですが、「〇〇デザイン事務所」などのような屋号(事業所名)があると、信頼性があり仕事がしやすくなります。
もし、いずれ人を雇って活動するような場合にも良いでしょう。
ちなみに、個人名を売りたいのならば「山田太郎デザイン事務所」のような名前もありですが、一度浸透した名前を変更するのは大変ですので、長い目で見て屋号を考えておきましょう。
今後の自分の事業展開を考えて、屋号を考えることがポイントです。
仕事の受注方法を考える
仕事の受注先は次のように様々です。自分がどの方法で仕事を受注するのかを、できるだけ明確にしておきましょう。集客する際の手段を考える上でも重要です。
広告代理店から仕事を下請けする
広告代理店を通じて受注する場合は、直接営業をかけたり、フリーランス同士のつながりを利用することが多いです。
人脈を作る努力をする必要がありますので、会社員時代から仕事につながるようにコミュニケーションをとっておくと良いでしょう。
企業・個人から直接仕事を受注する
クライアントからの直接受注を目指す場合は、WEBサイトやブログを活用した集客が良いでしょう。
脈があるかどうか分からない企業に営業をかけて受注するには、相当の数の営業をこなさないといけませんので、個人でやるには時間的コストが大きすぎます。
しっかり集客できるWEBサイトの作り方。キレイな作品だけでなく強みと専門性が伝わるコンテンツがポイント【フリーランスのデザイナー向け】の記事で、WEBを使った集客手法を書いています。
筆者が実際に行って成功した方法なので、参考にしてみてください。
しっかり集客できるWEBサイトの作り方。キレイな作品だけでなく強みと専門性が伝わるコンテンツがポイント【フリーランスのデザイナー向け】
クラウドソーシングなどのサービスを通じて受注する
まだ実績が少なく、仕事もなかなか受注できない場合は、インターネットを利用して受注するクラウドソーシングサービスを利用して実績作りをしても良いでしょう。
単価が低いなどのデメリットはありますが、実績作りをする場合には良いサービスです。
クラウドソーシングとは、簡単に言うとインターネット上のサービスを利用して、不特定多数の人に業務を外注するサービスです。
日本では、クラウドワークス
やランサーズが有名です。
案件を紹介してくれるサービスを利用する
案件受注をしてくるサービス・エージェントを利用することで、独立初期の仕事案件が見つけられます。
非常にオススメですので、ぜひ利用してみましょう。
フリーランスのデザイナー向けの案件紹介サービス・エージェントでおすすめなのが、クラウドテック
と、レバテッククリエイターです。登録は無料なので、気軽に登録してみましょう。
その他、いくつか登録しておくことで、自分に合った仕事が見つかりやすくなります。
仕事案件・業務委託求人を紹介してくれるエージェント・サービスとメリットまとめ【フリーランスデザイナー向け】で紹介していますので、一度すべて登録して比較すると良いでしょう。
仕事案件・業務委託求人を紹介してくれるエージェント・サービスとメリットまとめ【フリーランスデザイナー向け】
ちなみに筆者はWEB集客を使って「企業・個人から直接仕事を受注する」をメインに活動しています。
方法はしっかり集客できるWEBサイトの作り方。キレイな作品だけでなく強みと専門性が伝わるコンテンツがポイント【フリーランスのデザイナー向け】の通りです。
しっかり集客できるWEBサイトの作り方。キレイな作品だけでなく強みと専門性が伝わるコンテンツがポイント【フリーランスのデザイナー向け】
理由は、代理店が間に入らないため中間マージンがかからず、クライアントにとっては安く、自分にとっては利益が多くなるからです。
また、直接クライアントと打ち合わせするため、意思疎通がスムーズにいくこともメリットです。
反面、全てのやりとり・責任を自分が持つことになるので、相応の覚悟や必要です。
なお自分自身がWEBマーケティング・WEB集客を身につける必要があるので、お客様の集客をお手伝いする際にも説得力がある提案ができることは、大きなメリットです。
ただし集客できるようになるために時間もかかるので、案件紹介エージェントと併用しながら進めていくことで、独立初期の収入の不安が軽減します。
仕事案件・業務委託求人を紹介してくれるエージェント・サービスとメリットまとめ【フリーランスデザイナー向け】
自分にとって最適な受注方法を考えることがポイントです。
WEBサイト・ブログを作る
上記で書いたどの方法で仕事を受注するにしろ、自分の考え方や実績がアピールできるWEBサイト・ブログは必ず開設しましょう。次のようなメリットがあります。
- WEBサイトを通じて仕事の受注ができる
- 実績を世界に発信できる
- デザイン系雑誌・書籍への掲載オファーがもらえる
WEBサイト・ブログで情報を発信することで、情報が集まってきます。
筆者も、WEBサイトを見た、いくつかの有名デザイン系出版社から「こんなデザイン書籍を作るので実績にある作品を掲載させてください」という連絡をもらい、実際に掲載して頂いています。
書籍に作品が掲載されると、自分が嬉しいのはもちろんですが、クラインアントにも喜んでもらえます。また、自分の仕事の価値があがり、仕事依頼もより頂けるようになります。
しっかり集客できるWEBサイトの作り方。キレイな作品だけでなく強みと専門性が伝わるコンテンツがポイント【フリーランスのデザイナー向け】
ちなみに、フリーランスとして独立する前に事前に副業から始めておくことが可能ならば、ぜひオススメします。その時点でブログを立ち上げておけば、スムーズな独立ができるはずです。
次の2つの記事が参考になると思うで、ぜひ読んでみてください。
デザイナーが副業をするならブログを始めよう。集客と収益源の分散が同時にできてオススメ。
デザイナーの副業は「個人的なデザイン受注」から始めるのがベスト。その理由とメリット・デメリットを解説。
ビジネスツールを作る
フリーランスのデザイナーとして開業するにあたり、打ち合わせや取引に必要なビジネスツールを作成しましょう。必須なのは次のようなツールです。
名刺・封筒
ご挨拶時に使用する名刺はもちろん、資料や見積書・請求書を入れるための封筒も準備しておきましょう。
制作実績(ポートフォリオ)
打ち合わせ時などに紹介できる制作実績を紙媒体で作っておきましょう。色々な場面で役に立ちます。
事業・制作フロー案内
自分の専門分野や事業内容、制作の流れなどは、毎回口で説明するだけでなく、説明資料を用意しておくとスムーズです。
その他にも、仕事をスムーズに進めるために必要な資料を、自分で考えて用意しておきましょう。デザインの仕事に時間を使えるように、必要なツールは予め揃えておくことが大切です。
必要な道具を揃える
会社員の時は、仕事に必要な道具は会社が準備してくれていたと思います。
しかし独立して仕事をする場合は、全て自分で用意する必要があります。次のようなものを、会社員時代から順次準備するように心がけましょう。
- パソコン
- プリンタ
- Adobe系ソフトウェア
- フォントライセンス
- 色見本
- 紙見本
必要になる主な道具や手に入れる方法は、デザイナーが持っておくべき道具・ツール。フォント・色見本・紙見本などまとめ。の記事を参考にしてください。
デザイナーが持っておくべき道具・ツール。フォント・色見本・紙見本などまとめ。
デザインソフトについては、お得に購入する方法を利用するのも良いでしょう。
Adobe CC(Illustrator・Photoshop)プロ標準のデザインソフトをお得に買う方法。
まとめて準備するのは、コスト的にも大変です。
会社員時代から少しづつ準備をしておくとスムーズに開業できます。開業準備は徐々に進めることがポイントです。
会計(見積もり・納品・請求・入金・支払い)の仕組みを作る
独立して仕事をするということは、会計関係の事務処理も全て自分でする必要があるということです。
一人でこなすには時間的も限りがありますから、効率化のためのツール・サービスは必ず取り入れましょう。
クラウド会計・請求書サービスの活用方法|日々の経理(見積り・請求・経費)を効率化して確定申告作業を簡単にする【フリーランス向け】の記事も参考にしてください。
クラウド会計・請求書サービスの活用方法|日々の経理(見積り・請求・経費)を効率化して確定申告作業を簡単にする【フリーランス向け】
まず揃えるべきツール・サービスは次の通りです。
クラウド会計ソフトを導入する
確定申告を簡単にスムーズに行うためにも、クラウド会計ソフトは必ず導入しましょう。
クラウド会計・確定申告ソフトの選び方(代表的なクラウド会計ソフトfreee・MFクラウド会計の特徴・おすすめポイントと比較)
クラウド請求書ソフトを導入する
見積書発行から請求書発行までを効率的にこなすためにも、会計ソフトと連動できる請求書ソフトを導入しましょう。
フリーランスの請求書作成ソフトの選び方。おすすめはクラウド会計と連動できること
事業用の銀行口座を作る
個人のお金と仕事のお金を明確にして、お金の流れをわかりやすくするためにも、事業用の銀行口座を作りましょう。オンラインバンクがおすすめです。
フリーランス・個人事業主の銀行口座の作り方・ポイント(おすすめな銀行口座・オンラインバンク)
屋号の印鑑(角印)を作る
請求書などに押印する屋号の印鑑を作りましょう。個人名の印鑑を使うより信頼感が増すので、必ず作っておきましょう。
印鑑のネット通販で「屋号の角印」を作る方法と理由(フリーランスデザイナーの独立準備)
クレジットカードを作る
会計処理をスムーズにするために、会計ソフトと連動するクレジットカードを使いましょう。事業で動くお金は大きいですから、ポイントがつくカードを使うのもおすすめです。
フリーランスになると審査に通りにくくなるので、会社員時代にプライベートと分けた事業用のクレジットカードを作っておくべきです。
フリーランスがクレジットカードをビジネスに活用すべき理由(おすすめカードまとめ)
個人で事業をするデザイナーにとって、効率化はネックです。便利なサービスを有効活用しましょう。
便利なサービスを有効活用して、時間を効率的に使うことが大切です。
仕事場所について考える
独立開業すると働き場所も自分で確保する必要があります。選択肢は場合によって様々。代表的な選択肢は次のようなものになります
- 自宅兼事務所にする
- オフィスを賃貸する
- コワーキングペース(共有オフィス)を利用する
家族がいて自宅では集中できないのであれば、オフィスを借りる必要があるかもしれませんし、開業したばかりで資金に余裕がなければ自宅事務所が良いでしょう。
自分の状況に合わせて最適な方法を考えましょう。
ちなみに筆者は、自宅事務所とコワーキングスペースを併用しています。
コワーキングスペースは月額費用が安い場合が多いですし、気分転換になるのでおすすめです。
自分に合った働き場所を決めて、費用は掛けすぎないのがポイントです。
試行錯誤を繰り返す
今まで書いてきたことはもちろん、それ以外のことも、事業を運営する中で少しづつし試行錯誤して改善していきましょう。
定期的に見直しを行って、事業の効率化を行いつつ、不要なコストは抑えていくことが大切です。
独立前に、気持ちの準備とモノの準備を進めておこう
独立することは、やることは多いし、覚悟も必要です。
ただし、自分の裁量で全てをコントロールできるという、楽しさとやりがいもあります。ぜひ、しっかりと準備をした上でチャレンジしてみてくださいね。
フリーランスデザイナーの独立・起業方法マニュアル〜個人で集客して稼げるデザイナーになる方法・10ステップ〜の記事も要チェックです。
フリーランスデザイナーの独立・起業方法マニュアル〜個人で集客して稼げるデザイナーになる方法・10ステップ〜
独立が不安なら、転職でキャリアアップするのもあり!
ちなみに、この記事を見て、まだ独立には不安があると感じた方は、キャリアアップの選択肢として転職もありです。
その時は、デザイナーのための成功する転職マニュアル〜自分の特性・強みの理解方法と転職先の見つけ方〜のページも参考にしてみてください。最適なキャリアップを応援しています!
デザイナーのための成功する転職マニュアル〜自分の特性・強みの理解方法と転職先の見つけ方〜
転職のメリット・デメリットも把握しておくと良いでしょう。
デザイナーの転職・キャリアップの選択肢は?|転職候補先ごとのメリット・デメリットを解説
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